15.4.20220511
概要
openSUSE Leap はお使いの PC やラップトップ、サーバなどで動作する、 Linux ベースの自由なオペレーティングシステムです。 Web の閲覧や電子メール/写真の管理、オフィス作業やビデオ/音楽の再生などを行なうことができます。お楽しみください!
これは、将来リリースされる予定の openSUSE Leap 15.4 に対するリリースノート初期版です。
openSUSE Leap の旧バージョンからアップグレードした場合は、下記に示す旧バージョンのリリースノートもお読みください: https://ja.opensuse.org/openSUSE:Release_Notes
これは openSUSE プロジェクトが公開する公開ベータテストです。 プロジェクトに関する情報は、 https://www.opensuse.org をご覧ください。
openSUSE Leap 15.4 のプレリリース版でなんらかのバグに直面した場合は、 openSUSE Bugzilla にご報告ください。詳しくは https://ja.opensuse.org/バグレポート をお読みください。また、リリースノートに追記すべきとお考えの項目については、コンポーネントで 「Release Notes」 を選択し、バグを報告してください。
本章には、インストールに関連するメモが書かれています。詳しい手順については、下記で公開されている文書をお読みください: https://doc.opensuse.org/documentation/leap/startup/html/book.opensuse.startup/part-basics.html
新しいインストーラでは トランザクション型サーバ と呼ばれる役割が追加されています。このシステムの役割は、更新を一括 (単一の操作) で適用し、必要であれば後から以前の状態に戻すことができるようにする仕組みです。この機能は、 SUSE や openSUSE ディストリビューションの依存するパッケージ管理システムをベースにして動作しているものですので、 openSUSE Leap 15.4 に対応する大多数のパッケージが、 トランザクション型サーバ でも利用できることになります。
RPM パッケージ内の %post
スクリプト内で、 /var
や
/srv
の内容を書き換えるパッケージがそれに該当します。これらのパッケージは互換性のないパッケージですので、そのようなパッケージを見つけた場合には、バグ報告をお願いいたします。
これらの機能を提供するため、この更新システムは下記の仕組みを利用しています:
btrfs スナップショット. システムの更新を開始する前に、ルートファイルシステムに対して新しい btrfs スナップショットを作成します。その後、必要な全ての更新内容をそのスナップショット内に保存します。更新を完了するには、システムを再起動して新しいスナップショットを利用するようにします。
更新を元に戻すには、以前に採取したスナップショットから起動するだけです。
読み込み専用のルートファイルシステム. 更新による問題やデータ損失を防ぐため、ルートファイルシステムには不用意な書き込みを発生させてはなりません。そのため、通常動作時には、ルートファイルシステムを読み込み専用にしてマウントします。
このような仕組みを動作させるため、ファイルシステムに対して追加で 2 種類の変更が行なわれます: 利用者側での
/etc
への設定書き込みを許可するため、このディレクトリは OverlayFS
を使用するように自動設定されます。また、 /var
はプロセス側で書き込みができるよう、個別のサブボリュームが設定されます。
システムの役割である トランザクション型サーバ では、 btrfs のスナップショットを保存する必要があることから、最小でも 12 GB のディスクサイズが必要となります。
現時点では、 YaST はトランザクション型の更新に対応していません。これは YaST が設定を即時に適用するためで、読み込み専用のファイルシステムでは動作できないためです。
トランザクション型更新を行なう場合、ソフトウエア管理にあたっては YaST や Zypper ではなく、必ず transactional-update コマンドをお使いください:
システムの更新: transactional-update up
パッケージのインストール: transactional-update pkg in
パッケージ名
パッケージの削除: transactional-update pkg rm
パッケージ名
直近に採取したスナップショット (ルートファイルシステムに対して、更新を適用する前の状態) に戻すには、次回の再起動でそのスナップショットを利用するよう、下記のコマンドを実行します: transactional-update rollback
必要であれば、コマンドの末尾にスナップショット ID を追加して、特定の時点の状態に戻すこともできます。
このシステムの役割を利用している場合、既定では午前 03:30 から午前 05:00 までの間に、システムは自動で更新を実施して再起動します。これらの動作は systemd を利用して実現しているものであり、不要であればsystemctl を利用して無効化することができます:
systemctl disable --now transactional-update.timer rebootmgr.service
トランザクション型更新について、詳しくは openSUSE Kubic プロジェクトのブログ投稿 https://kubic.opensuse.org/blog/2018-04-04-transactionalupdates/ および https://kubic.opensuse.org/blog/2018-04-20-transactionalupdates2/ (いずれも英語) をお読みください。
インストーラ側では、ハードディスクのサイズが 12 GB よりも大きい場合にのみパーティション方法を提案します。たとえば小さな仮想マシンイメージなどを作成する目的で、 12 GB 未満のディスクをお使いの場合は、ガイド付き設定をお使いのうえ、パーティション設定を行なってください。
UEFI (Unified Extensible Firmware Interface) を利用して起動するシステムに openSUSE をインストールする場合、事前に製造元が推奨するファームウエア更新を必ずチェックし、可能であればインストールしておくことを強くお勧めします。 Windows 8 もしくはそれ以降のバージョンがプレインストールされているマシンの場合、お使いのシステムが UEFI である可能性が高いものと思われます。
背景 UEFI のファームウエアによっては、 UEFI のストレージ領域に多くのデータが書き込まれることで、起動に失敗してしまうバグを抱えています。もちろんこれはバグであるため、どれだけ 「多くの」 データを書き込むことで問題を発生させるのかは、誰にもわかりません。
openSUSE では、 OS を起動するのに最低限必要となるデータ (UEFI に対して、 openSUSE のブートローダの場所を示すための情報)
しか書き込まないようにすることで、このバグの発生を最小化しています。 Linux カーネルのオリジナル版では、 UEFI
のストレージ領域に起動やクラッシュに関する情報を書き込む機能 (pstore
)
がありますが、既定では無効化しています。ただし、バグである都合上、ハードウエアの製造元が推奨するファームウエア更新については、必ずインストールしておくことをお勧めします。
EFI/UEFI の仕様には、新しい形式のパーティションテーブル GPT (GUID パーティションテーブル) が定義されています。この新しい方式では、ユニークな GUID (識別子; 32 桁の 16 進数で表わされる 128 ビットの値) を利用してデバイスとパーティション種別を識別します。
これに加えて、 UEFI の仕様では古い MBR (MS-DOS) 形式のパーティションテーブルにも対応しています。 Linux のブートローダ (ELILO, GRUB 2) では、これらの古い形式のパーティションに対して、自動的に GUID を割り当ててファームウエア内に書き込もうとします。この場合、 GUID は頻繁に変更されてしまうため、ファームウエアへの再書き込みも頻繁に発生することになります。この再書き込みには 2 つの操作、具体的には古い項目の削除と、それを置き換えるための新しい項目の作成が含まれます。
また、新しいファームウエアには、削除された項目を収集して古い項目用に確保したメモリを解放する、ガーベージコレクタ機能が用意されています。ファームウエアに不具合があると、これらの古い項目を収集できなかったり、メモリを解放しなかったりする場合があり、これにより起動が不可能になる場合があります。
このような問題が発生した場合は、古い MBR 形式のパーティションを GPT 形式のパーティションに更新して、問題を回避してください。
本章には、アップグレードに関する説明が書かれています。サポートされるシナリオと詳しいアップグレード手順については、下記で公開されている文書をお読みください:
このほか、 「パッケージの変更について」 についてもご覧ください。
廃止予定のパッケージは、ディストリビューションの一部として現在も配布されているものの、次期バージョンの openSUSE Leap で削除される予定になっているものを示しています。これらのパッケージは移行を目的として残されていますが、使用は推奨されず、更新を受け取れない可能性があります。
インストール済みのパッケージがメンテナンスされているかどうかを確認するには、 lifecycle-data-openSUSE パッケージをインストールしたあと、下記のコマンドを実行してください:
zypper lifecycle
削除されたパッケージとは、ディストリビューションの一部として配布されなくなっているものを表わしています。
python2: Python 2 は EOL (保守終了) となったため、ディストリビューションの一部としては配布されなくなっています。詳しくは https://code.opensuse.org/leap/features/issue/15 をお読みください。
cloud-init-vmware-guestinfo: このパッケージは、バージョン 21.2
およびそれ以降の cloud-init
では動作しなくなっています。なお、
cloud-init
のバージョン 21.4
では、これを置き換える新しいデータソースが提供されるようになっています。
digikam: Digikam は ppc64le での libqt5-qtwebkit が削除されたことに伴い、同アーキテクチャでは配布されなくなっています。このパッケージは x86_64, aarch64, armv7 の各アーキテクチャのみで配布されます。
chessx: 起動時の問題が見つかっており、修正が進んでいないことから削除されています。詳しくは https://bugzilla.opensuse.org/show_bug.cgi?id=1192907 をご覧ください。
gap: FHS に準拠していないことから削除されました。詳しくは https://code.opensuse.org/leap/features/issue/24 をご覧ください。
tensorflow: Tensorflow 1.x は古いバージョンであり、現在は tensorflow2 を使用すべきであるため、削除されました。
openSUSE Leap 15.2 およびそれ以降では、サードパーティ製のドライバに対するカーネルモジュールの署名チェックを行なうようになっています
(CONFIG_MODULE_SIG=y
)
。これはカーネル内で不正なコードを実行しないようにするための重要なセキュリティ設定です。
UEFI Secure Boot が有効化されている場合、これによってサードパーティ製のカーネルモジュールを読み込めなくなってしまうことがあります。公式の openSUSE リポジトリ内にあるカーネルモジュールパッケージ (KMP) については、 openSUSE の鍵による署名が付与されていることから、問題なく動作します。なお、署名チェックは下記のように動作します:
カーネルモジュールが未署名の場合や未知の鍵で署名されている場合、もしくはシステム側で信頼する鍵以外で署名されている場合は、読み込みが失敗します。
独自の証明書を作成してシステムの所有者鍵 (Machine Owner Key (MOK)) データベースにそれを取り込み、かつその証明書を利用してカーネルモジュールに署名を行なうことで回避することも可能です。この方法で署名されたカーネルモジュールは問題なく読み込むことができるほか、警告を表示するようなこともありません。詳しくは https://ja.opensuse.org/openSUSE:UEFI をお読みください。
この問題は NVIDIA 社のグラフィックカード向けドライバでも発生するため、 openSUSE では公式のパッケージとして提供することで解決しています。ただし、新しいパッケージを動作させるには、新しい MOK 鍵を登録する必要があることに注意してください。ドライバのインストール方法と MOK 鍵の登録方法について、詳しくは https://ja.opensuse.org/SDB:NVIDIA_drivers#Secureboot をお読みください。
本章では、 openSUSE Leap 15.4 のデスクトップ関連の問題や変更点を説明しています。
KDE 4 パッケージは openSUSE Leap 15.4 で削除されました。お使いのシステムを Plasma 5 および Qt 5 に更新してください。ただし、互換性確保の理由から、いくつかの Qt 4 パッケージが残されています。詳しくは https://bugzilla.opensuse.org/show_bug.cgi?id=1179613 をお読みください。
まずはメディア内の README
文書をお読みください。
また、特定のパッケージに対する詳細な変更点を RPM パッケージから表示するには、下記のコマンドを実行します:
rpm --changelog -qp ファイル名
.rpm
ファイル名
の箇所を RPM の名前に置き換えてお使いください。
また、メディアのルートディレクトリには ChangeLog
ファイルがあります。ここには、更新されたパッケージに対する全ての変更点が時系列順に並んでいます。
そのほか、 メディアの docu
ディレクトリには、さらに詳しい情報があります。
追加のドキュメンテーションや更新されたドキュメンテーションをお読みになりたい場合は、 https://doc.opensuse.org/ をご覧ください。
また、 openSUSE からの最新の製品ニュースについては、 https://www.opensuse.org をご覧ください。
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